薬の瓦版
薬の瓦版=平成27年6月22日= 第26号

以下、テキスト版です。

大田区薬剤師会        薬の瓦版            2015年(平成27年)6月22日(月曜日)     (ほぼ週刊)
発行:大田区薬剤師会
東京都大田区中央3−1−3
アルカディア中央1階
認知症は治療できるの?
 2013年の厚労省資料 によると、高齢者の7人に 1人が認知症と推計されて いる。2025年には、認 知症の高齢者は700万人 を超え、高齢者の5人に1 人が認知症になると予測さ れている。年を重ねれば、 誰がいつなってもおかしく ない、とても身近な病気だ ということが分かる。  現段階では、認知症を根 本的に治療する特効薬はな いが、進行を遅くしたり、 症状をやわらげる治療方法 は開発されている。特に、 認知症の半数以上を占める アルツハイマー型認知症 は、研究が進んでおり、薬 で治療する「薬物治療」と 薬を使わない「非薬物療法」 がある。
 「薬物療法」については、 日本では1999年に初の 中核症状に対する抗アルツ ハイマー型認知症薬として 「アリセプト」が誕生し、 2011年以降には「レミ ニール」「イクセロンパッ チ」「リバスタッチパッチ」 「メマリー」など、新しい 抗認知症薬が加わってい る。これらの薬は、記憶障 害の根本治療ではないもの の、進行を少なくとも1年 間ほど遅らせることができ ると言われている。さらに 「アリセプト」は2014 年にはレビー小体型認知症 の適応も追加になってい る。脳血管型認知症の場合、 脳血管障害の発作を予防す ることで認知症の悪化を防 ぐことができる。そのため、 抗血小板薬「バイアスピリ ン」など、脳代謝改善薬「サ アミオン」「シンメトレル」 などが用いられている。
 また、うつや徘徊、イラ イラ、興奮、暴力といった 周辺症状(BPSD)への 対策として、以下のような 薬を併用することもある。 抗精神病薬「リスパダール」 「ジプレキサ」など、抗不 安剤「ソラナックス」「セ ニラン」「コントール」な ど、抗うつ剤「デプロメー ル」「トレドミン」「アモ キサン」など。また、「マ イスリー」「アモバン」な どといった睡眠薬や漢方薬 の「抑肝散」なども用いら れる。
 「非薬物療法」とは、そ の名前の通り、薬を使わな い治療方法のことです。回 想法や芸術・絵画療法、音 楽療法、運動療法、作業療 法などその種類は多岐に渡 り、全国の医療機関や介護 施設で実践されています。 いま、この非薬物療法は脳 の血流が増えて認知症がも たらす様々な周辺症状を改 善するという研究結果もあ り、とても注目を集めてい ます。
 様々な取り組みから、完 治するとは言えないまで も、本人や介護者(家族) にとって困難な状況が緩和 されるといった、臨床症状 的には良くなることが期待 できる。
認知症の種類
 認知症は「アルツハイ マー型」、「レビー小体 型」、「脳血管型」の三 つに大きく分けられる。
 アルツハイマー型は認 知症全体の約50%に見ら れる。「老人班」と「神 経原線維変化」の二つの 特徴的な構造的変化が起 こっている。老人班とは、 大脳皮質に沈着するタン パク質の塊のことであ る。このタンパクはアミ ロイドベータ(Aβ)と いう異常なタンパク質が 凝集したものであり、こ れが老人班を形成して脳 にシミのようなものをつ くる。アルツハイマー患 者では多量の老人班が沈 着している。また、神経 細胞の中に糸くずのよう なものが蓄積する「神経 原線維変化」が起こる。
 レビー小体型の特徴と しては、大脳皮質にレビ ー小体というタンパク質 の塊が現れることにあ る。高齢者に多くみられ るが、40代の比較的若い 人でも発症する。幻覚を 見たり、妄想が表れるこ とも特徴であり、記憶障 害と共にパーキンソン病 のような運動障害症状を 示す。
 脳血管性認知症の原因 としては、脳梗塞や脳出 血の多発によるものが70 %以上を占める。これら、 脳血管が詰まったり脳血 管が破れて出血したりす ることで、脳の働きが悪 くなる。これによって、 認知症が引き起こされ る。アルツハイマー型や レビー小体型のように少 しずつ病気が進行するの ではなく、脳血管障害の 発作が起こることで段階 的に症状が悪化する。



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