薬の瓦版
薬の瓦版=平成27年6月8日= 第24号

以下、テキスト版です。

大田区薬剤師会        薬の瓦版            2015年(平成27年)6月8日(月曜日)     (ほぼ週刊)
発行:大田区薬剤師会
東京都大田区中央3−1−3
アルカディア中央1階
熱中症の予防や治療、効果的な方法は?
 今年の夏は東日本で平年 並みか平年より気温が高く なることが見込まれていま す。熱中症に気を配らなけ ればならない季節です。熱 中症を知って、しっかり予 防し、楽しい夏を過ごしま しょう!
 熱中症は暑さへの順化が 十分でないと発症しやすい 事が知られている。熱中症 は、体内での熱の産出と熱 の放散のバランスが崩れ て、体温が著しく上昇する と発症しやすくなる。気温 が高い、湿度が高い、風が 弱い、日射が強いという条 件が揃うと、体からの熱放 散を妨げられるので注意が 必要だ。
 熱中症の発症数は、梅雨 明け後の7月中旬から8月 上旬にかけてピークを迎 え、発症時刻は12時および 15時前後の日中がもっとも 多い。しかし、気温が低く ても湿度が高かったり、日 射が強い、暑さへの体の順 化が十分でない場合に発症 しやすいという。
 ガイドラインによると、 2013年6〜9月の4ヵ 月間に全国の医療機関を受 診し、熱中症関連の診断を 受けた症例数は約40万8, 000人。うち3万5,0 00人超が入院し、550 人が死亡したという。熱中 症の発症例の半数近くは65 歳以上が占めるが、スポー ツを行っている若年や中年 の男性にも起こりうると注 意を呼びかけている。スポ ーツなどによる熱中症は症 状は軽いものが多いが、陸 上競技などグラウンドでの スポーツは重症率が高い。 運動選手を対象とした調査 では、熱中症の約3割は2 時間を超える運動で発症す るという。10から60代では 男性のほうが熱中症で亡く なる割合が高くなる。男性 の方がスポーツをする時の 運動強度が高く、中年期に かけて仕事による身体のへ の負担が大きいからだ。
 また、高齢者は「熱中症 弱者」と言われてる。高齢 者では、日常生活の中で起 こる非労作性熱中症が多 く、屋内での発症頻度が増 えている。エアコンの使用 を控える傾向があり、脱水 症が生じやすく、また脱水 に自分では気づきにくいこ とも多い。さらにお茶など の塩分が少ない飲み物を好 み、水分補給をしているつ もりでも結果的に電解質が 補給されていない場合もあ るので注意が必要である。

熱中症の治療
 水分とナトリウムの補給 が基本です。熱中症を起こ した人の体では、水分とと もにナトリウムなどの電解 質が失われていることが多 い。こうした「ナトリウム 欠乏性脱水」のケースでは、 水分に加えて適切な電解質 の補給が重要となる。その ため、熱中症の徴候がみら れたときは、塩分と水分が 適切に配合された「経口補 水液」を飲むと良いという。 予防や治療では、0.1〜 0.2%の食塩と4〜8% の糖質を含んだ飲料を飲む ことを推奨。1Lの水に1 〜2gの食塩と大さじ2〜 4杯の砂糖加えて飲むと、 効率よく水分を吸収できる という。市販されているス ポーツドリンクでも効果は あるが、塩分量が少なく、 糖分が多いものが多いこと に注意が必要だ。また、梅 昆布茶や味噌汁などもミネ ラル、塩分が豊富に含まれ ており熱中症の予防に効果 的だという。
早期認識、早期治療で「重症化→死」を回避
 日本救急医学会の熱中症 に関する委員会は、熱中症 の診断や治療などのガイド ラインを公表した。熱中症 を重症度による3段階に分 類し、「発症したら適切な 対処が必要」と注意を呼び かけている。熱中症は、高 齢者や、高血圧、糖尿病、 認知症などの持病があると 重症化しやすい。ガイドラ インでは、重症度の判定や 水分の補給といった具体的 な治療方法などを記載。医 療や介護の現場に加え、学 校や職場などでの活用を呼 びかけている。
 熱中症の診断について は、「暑熱環境における体 調不良では常に熱中症を疑 う」とし、応急処置や入院 加療といった3段階の重症 度分類などを提示してい る。重症度の分類は、周囲 にいる人が早く異常に気付 いて治療につなげる目的で つくられた。体温などにか かわらず、めまいや立ちく らみがある状態を「I度」、 頭痛や嘔吐があれば「II 度」、意識障害や痙攣発作 などがあれば「III度」とし た。
 I度であれば、涼しい場 所へ移動し、服をゆるめて 体の表面を冷やしたり、水 分・塩分の補給など応急手 当てをすることで回復す る。経過観察のため誰かが 付いて見守ることも必要 だ。「意識がはっきりしな い」「自分で水分補給がで きない」「応急処置によっ ても症状が改善しない」等 の場合は、II度以上と判断 しすぐに医療機関へ搬送す る必要がある。



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